大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです。
南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。
ohana membership限定公開記事
2022/8/12一般公開
先日のカウンセリングで、トレーニングで使用する食べ物(オヤツ)について、「これはマズイ!」というお話がありましたので、今回はその内容を皆さんにシェアしたいと思います。
今まで、私個人的には当たり前と思っていたことが、意外と世では当たり前でないようですので、カウンセリングでお伝えしきれていないかもしれません。
是非、ご参考になさってください。
目次
ケースデータ(私の愛犬が吠えます!)
早速ですが、先日のカウンセリングでの出来事です…
飼い主様は愛犬とのより良い関係を築くために、以前から何名ものプロのトレーナーより指導を受けている、とても熱心な方でした。
練習内容の詳細なお話をお伺いしていると、飼い主様の愛犬は、1日たくさんの場面で「吠える」行動をするようです。
今まで愛犬の行動を改善するために、主に食べ物を沢山使用してのトレーニングをされていたそうです。
吠えそうなタイミングでオヤツをひたすら与えるの繰り返し。
しかし、未だにオヤツが無いと吠えるようです。
トレーニングプランに突っ込みどころ満載なのは、今回では触れないでおきます…
そのとき、私が気になったのは、一日のオヤツの総使用量です。
飼い主様は、主に使用しているオヤツが「クッキーとジャーキー」でしたので、これらは総合栄養食(栄養バランスが整った、いわゆるペットフードのこと)ではありません。
飼い主様はまじめな方で、毎日コツコツとトレーニングをされているようでした。
ということは、かなりの量のオヤツをトレーニングでご使用になっていのです。そして、愛犬の体型維持のために、総合栄養食であるドライドッグフードを過剰に減らしていました。
そうすると、1日の愛犬に必要な総カロリーは足りているから体型は維持できるできるかもしれませんが、微量栄養素(ビタミン・ミネラル)は過剰・不足している可能性が高く、健康が損なわれる可能性が高いです。
実際に、この愛犬も健康面で問題がありました。
そして、この健康問題が行動を悪化させているようにも見受けられました。
1日のオヤツの目安使用量
みなさんは、1日のオヤツはどれぐらい使用していますか?
犬の栄養学的には
オヤツの使用は、1日の総カロリーの10%以下
が良いと言われています。
市販のオヤツの注意点
市販のオヤツは便利ですが、かならずラベルをしっかりと読みましょう。
例えば、塩、砂糖、着色料、香料、体に有害な添加物が無いものが好ましいです。
ヒトの研究データですが、砂糖や特定の添加物は、イライラを引き起こしやすく攻撃的な行動を引き出しやすいと示唆されています。
もっというと、カゼイン(牛乳)やグルテン(小麦)も含まれていないことが好ましいです。(胃腸を荒らすことがあるため)
犬の行動を変えたいのに、オヤツが邪魔して、なかなか変わらない!
といった可能性も考えられますので、是非みなさんも愛犬のオヤツの原材料を確認してみてください。
因みに、子犬のオヤツに関してですが、教えることが盛沢山ということもあり、それ相応の量が必要になりますので、基本的にはフード(総合栄養食)を使用することを推奨します。
表示で子犬NGと書かれているものは、基本的に添加物が多く、成犬にも悪影響があるものが多い印象です。
その点も気をつけて確認してみてください。
因みに、子犬はオヤツを食べてはいけないわけではありません。
市販品であれば、フリーズドライなどが使いやすいと私は思います。
ついでに、フードへのトッピングも要注意!
ドライフードに手作りのトッピングを行う場合も注意してください。
ドライフード全体のうち10%程を手作りトッピングに置き換えるぐらいであれば、問題ないですが、20%を超えるようであれば、栄養計算をしっかりとしていく必要があります。
私個人的に栄養を学んでから驚いたことがあるのですが、つい先日ネットにある無料の犬レシピや一部の犬のレシピ本をざっと見てみると、栄養計算が全くされていませんでした。
つまり、健康に影響を及ぼす可能性が高いということです。
実際に、飼い主様の中にネットで公開されている栄養計算がされていないレシピを基に手作り食を愛犬に提供したことが、愛犬の体調不良の原因である可能性が高いと思われるケースを数件みています。
私も栄養学を学ぶまでは、特に犬のレシピ本はしっかりと栄養計算されているとばかり思っていましたが、そうではないケースもありますので、お気をつけてくださいね!