大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです。
南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。
皆さんは「三項随伴性」というワードを耳にしたことはありますか。
三項随伴性を理解すると、犬や人の行動の仕組みも理解することが出来ます。また、犬のトレーニングも効率的に行うことが可能になります。
本日は、息抜きとして「人のダイエットがなぜ失敗しやすいのか?」も解説いたします。
目次
三項随伴性とは
三項随伴性(ABC分析)では、なぜその行動をするのか?を…
・先行刺激(Antecedents)
・行動(Behavior)
・結果(Consequences)
の3つの要素に整理します。
💡〈例〉
犬嫌いな愛犬は散歩中、他の犬が近づいてくると吠えます。また、日が経つにつれて、吠え声の大きさや吠えるまでの早さが早まったような気がします。
以上の犬の行動を三項随伴性に当てはめて考えてみると以下のようになります。
このような図式が出来上がります。
行動を分析すると、犬は不快(犬がこちらに近づく)を避けるため、吠えています。そして、不快な対象から逃れることができています。
また、基本的に行動を繰り返すことで反応強度や速度は増加していきます。
以上から、この犬は不快対象を避けるために犬に吠え、経験を重ねることで吠え始めた当初よりも反応強度や速度が増したと分析することが出来ます。(※実際は詳細なヒアリングが必要です。)
ダイエットを失敗するのはなぜ?
今日からダイエットをしよう!と決心したとき、あなたは何から始めますか?
多くの場合、まずは目標を立てることから始めるのではないでしょうか。
「マイナス3キロ!」
「夏に水着を着る!」
「痩せていたときの服を着たい!」…
しかし、このような目標をただ立てるだけでは、ダイエットの成功率は低くなってしまいます。
なぜかと言うと、行動の直後に結果が起こることが大切だからです。
💡POINT
ある行動した直後に好子(嬉しいこと)や嫌子(嫌なこと)が出現あるいは消失すると、行動の変化に影響を与えます。
逆に、行動して60秒を過ぎると、好子や嫌子が出現あるいは消失しても、行動の変化にほとんど影響はありません。
では、ダイエットはどうでしょうか。
例えば、美味しくないカロリー抑えめのご飯を食べたとしても、急に体重が減ることはありません。しんどい運動をしても、すぐには体重が減りません。
つまり、ダイエットは行動の直後に好子(体重の減少)が出現しないため、その行動自体が強化されず、行動を継続することが難しいのです。
💡ダイエットを成功させるために…
「マイナス5キロ」などの最終目標を掲げることも大切ですが、他にも別の好子や嫌子を付加することが重要です。
例えば、「ダイエットメニューを食べたら、好きなテレビ番組を見れる」「好きなトレーナーに会えるジムに通う」など…
行動の直後に好子が出現するように工夫すると、ダイエットの成功率がぐんと上がるでしょう。
まとめ
犬や人の行動は複雑ですが、三項随伴性に当てはめることで、行動を理論的に整理し、理解することが出来ます。
そして、三項随伴性の流れの最後の部分にあたる結果(Consequences)を変化させることで、好ましい行動を増加させたり、不適切な行動を減少させたりすることができます。
参考文献
・三田村仰(2017)はじめてまなぶ行動療法,東京都,金剛出版
・奥田健次(2013)メリットの法則 行動分析学・実践編,東京都,集英社