【お知らせ】ご予約状況など

愛犬の行動に「絶望」している人に読んで欲しい話

つじ
つじ

大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです


南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。

一昔前は、ほほえましい子犬の相談もたくさん受けていたのですが、最近は「噛まれて何針も縫う怪我をしました…」のような、かなりヘビー級のご相談を頻繁に頂いています。

私の行動変容サービスでは、レッスン期間は無制限にご質問をして頂けるようにしています。

レッスン期間中に不運にも避けられないトラブルが発生してしまうこともありますので、そんなときご報告やご質問を頂いたら、ときには1時間以上かけて、ご返信することもあります。

愛犬を撫でたら、急に流血するほど咬まれました。
他の犬は、こんなことしないのに、なぜうちの子だけ…

ご質問内容のうち、上記のようなコメントを頂くことがあります。

愛犬のためを思って行動しているのに、愛情を裏切るかのように愛犬が攻撃してくることもあります。

今回は、「イヌ」という動物種について、少し理解が深まる内容をシェアしたいと思います。

イヌとヒトの行動パターンの違い

まずはじめに、犬がなぜその行動を知るためには、「イヌ」について理解することが大切です。

ヒトとイヌの違いは何でしょうか…

当たり前ですが、人と犬は「種」が違います。

イヌ…哺乳綱 食肉目 イヌ型亜目 イヌ下目 イヌ科
ヒト…哺乳綱 サル目 真猿亜目 狭鼻下目 ヒト上科 ヒト科

上記のように、同じ哺乳類ではありますが、全く違う種であることがわかります。

ということは、遺伝的な行動パターン(モーターパターン)が違います。
※もちろん学習などによる個体差はあります。

たとえば、以下のような違いがあります。

撫でることの意味のちがい

では、遺伝的な行動パターンの違いについてですが、例えば「撫でる/撫でられる」ことのイヌとヒトの意味合いの違いが挙げられます。

ヒト

ヒトは「相手に触れる」ことで愛情を伝えることが遺伝的にインプットされています。

一昔前は、チンパンジーの「パン君」がよく人に触れたり、抱き着いたりしていましたね。

これは、もちろん学習も関係していますが、チンパンジーの遺伝的な行動パターンとも言えます。

なので、私達は犬に愛情を抱いたときは、ついつい撫でてしまう、抱き着いてしまう傾向があります。

一方で、イヌはどうでしょうか。

イヌ

イヌは「相手に触れる」ことで、「ちょっかい」「喧嘩をふっかける」などの意味合いとして伝える/理解することが遺伝的にインプットされています。

ただし、「学習」によって「撫でられる」ことへの理解が変化します。


このようにして、ヒトは愛情を伝えるために撫でたのが、イヌからするとウザい絡み…と誤解が生まれることがあります。

ヒトの社会に連れ込まれたイヌ

イヌと暮らすということは、種が違うイヌをヒトの社会に連れ込むとも言い換えられます。

遺伝的な行動パターンが違う動物と共同生活するということは、動物にとっては普通のことでも、ヒトからすると理解できない・困ることが出てきやすくなります。

「ブラッシング」も誤解が生まれやすいでしょう。

イヌが生きていく上では、ブラシをされることは、遺伝的な行動パターンに含まれていません。

また、ヒト同士のように、「言語」を使用して、ブラシの必要性を理解してもらうこともできません。

結果的に、一部の犬は嫌悪感を抱き、相手に「やめてほしい」ことを伝えるために、逃げようとしたり、暴れたり、咬んだりします。

ただ、ヒトからするとなぜ嫌なのか理解できずに、場合によっては「上下関係ができていないから」「調子に乗ってるから」などと飛躍した考えになってしまいます。


トレーニングの目的

種が違うイヌが、ヒトの社会で生きやすくするために必要な手段が「トレーニング」です。

もちろん、人がストレスを極力抱えることなく、犬と一緒に楽しみながら暮らすことも含まれます。

トレーニングの目的:
種が違う動物がヒトの社会で生きていくために、ストレスを極力感じることなく、必要なスキルを獲得することです。

そのために私たちは、イヌ科を理解し、ボディーランゲージ(犬の言葉)を理解する必要があります。

皆さんは、どこまで「イヌ」を理解出来ていますか?

愛犬とより楽しい生活をするために

トレーニングでは主に、イヌがヒトの社会で生きていくために特に苦手意識の強い分野を改善していく作業を行います。

トレーニングをするにつれて、飼い主は愛犬のボディーランゲージを理解出来るようになることが大切です。

愛犬がどのようなタイミングでどのような感情を抱いているのか理解できるようになることで、今まで愛犬が喜んでいると思っていたことが、実は嫌がっていた…

などの誤解を解いていくことができます。

そうすることで、飼い主はより愛犬との生活が楽しく変化していきます。

また、愛犬は自分の伝えたいことが正確に伝わっている安心感を抱けるようになってきます。

そして、愛犬は苦手なできごとが減ることで、より生活が楽しめるようになるでしょう。