大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです。
南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。
愛犬との散歩中に犬と出会い、微笑ましく挨拶している…と思いきや急に喧嘩が始まった!なぜ急にこのようなことが起こるのでしょうか。
目次
礼儀正しい犬の挨拶
人間の世界での「礼儀正しい挨拶」は、お互いが正面に立ち、相手の目を見て、ハキハキと挨拶をするのが一般的ではないでしょうか。逆に、目をそらすと失礼にあたります。
しかし、犬の世界での「礼儀正しい挨拶」は、人間とは全く異なります。
まず犬の挨拶は「尻の匂いを嗅ぎ合う」ことで成立します。正確には、犬の肛門周辺にある「アポクリン腺」と呼ばれる特殊な汗腺から分泌されたフェロモンを匂っています。
💡フェロモンから読みとれる情報の例
・性別
・年齢
・健康状態
・その個体の気分
そして、犬の世界での「礼儀正しい挨拶」は、「相手の犬の目を見つめることなく、低姿勢な状態でゆっくりと近づき、相手のお尻の匂いを嗅ぐ」ことです。これが、模範的な犬の挨拶です。
逆に、例えば目線ががっつりと合わしたり、尻尾が真上にピンと立っていたり、鼻先を近づけるような挨拶は、相手に威圧感を与え、喧嘩を引き起こす要因にもなります。
こちらの記事もご参考下さい。
他の挨拶方法もご紹介
犬の挨拶は「お尻の匂いを嗅ぎ合う」以外にも例えば以下のようなものがあります。
💡他の挨拶
・相手の口を舐める
・鼻先を近づける
「相手の口を舐める」行動は、とくに子犬に頻繁に見られます。
意味合いは、相手に対して敵意が無いことを伝えています。
また、犬が鼻先を近づけ挨拶をする場合は、お互いの関係が親密であることが多いです。
本来、犬同士の目線がばっちり合うのは、緊張感をうみます。
つまり、あまり知らない同士の成犬が正面で向き合うことは、本来ストレスがかかる状況です。
犬の挨拶で喧嘩になる3つのシチュエーション
愛犬との散歩中に犬と出会い、微笑ましく挨拶している…と思いきや急に片方の犬が怒り出した、もしくは喧嘩が始まった!
といった経験はないでしょうか?このような場合、いくつかの原因が考えられます。
💡挨拶中に喧嘩になるケース
①片犬が鼻先で挨拶してきた
②匂い嗅ぎがしつこい
③飼い主が愛犬をリードで引っ張る
①「片犬が鼻先で挨拶してきた」というのは、犬同士の目線が合いやすい状態です。成犬の目線がバッチリ合ってしまうというと、お互いに緊迫感が生まれます。そのため、鼻先を突き合せた挨拶によって犬が唸ったり、吠えたりするのは、その状況が不快である気持ちを相手に伝えています。
②「匂い嗅ぎがしつこい」とは、匂いを嗅ぐ時間が長い場合です。相手の匂い嗅ぎがしつこいと、不快になり、喧嘩になる場合があります。特に日本犬はしつこい挨拶を嫌う傾向にあります。
③「飼い主が自分の犬をリードで引っ張った」とは、犬がリードで引かれる状態は、体を拘束され、逃げ場が無くなるため、犬に緊張を与えます。そのため、初対面で少し緊張気味な犬同士の挨拶で、飼い主が自分の愛犬をリードで引っ張ると、それが引き金となり喧嘩に発展してしまう場合があります。
ですので、犬が挨拶を始めたら、飼い主は極力リードを垂らした状態にしておくのがよいでしょう。
実践!犬同士の挨拶
犬が挨拶上手かどうかは、生まれ持った気質、幼少期に育った環境、子犬期の社会化の質、今までの経験など、様々な要因があります。
犬同士が仲良くしている姿は微笑ましいですが、人見知りな人がいるように、犬でも犬が大好きな子もいれば、犬が苦手、犬に興味がない子もいます。
そのため、その犬が群れで過ごす必要性が無い限りは、犬同士の挨拶も絶対にさせないといけないものではありません。
犬の散歩中に犬連れの方がこちらに近づいてきたとき、まずは相手の犬のボディーランゲージをしっかりと見ることをお勧めします。
例えば、「ぜえぜえ」言いながら飼い主を引っ張って近づいてくる犬は、興奮レベルが非常に高い状態です。そのため、もう一方の犬は危機意識を持ちやすく、警戒心が高まりやすくなります。
そして犬が苦手な個体や同性(特に雄同士)の場合、吠えたり威嚇したり攻撃的になることもあります。(リードを引っ張ると余計に興奮します)
このような場合は、相手方の気分を損ねないよう「うちの犬、噛んでしまうので…(本当は噛まないけど)」といって立ち去るのが、平和的解決になるでしょう。
以上のように飼い主が少し気をつけるだけで、犬同士の不要な喧嘩を防ぐことができます。ご自身の愛犬の性格を尊重し、相手の犬が近づいてきたら、適切な対応をしてあげましょう。