大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです。
南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。
愛犬との暮らしをより良くしたと思っている方は、いぬの「しつけ本」や「しつけサイト」をしっかりと読んで、愛犬のトレーニングに励んでいらっしゃるのではないでしょうか。
しつけ本に「○○行動は問題行動です!改善しないと飼い主が犬になめられますよ!」などと書いていると、真面目な飼い主様はそれを真に受けて、悩んでしまうようです。
実際に、悩む必要のない愛犬の行動でお悩みの飼い主様を何名も見てきました。
そこで、今回は「犬の問題行動とは?」について、皆様にシェアしたいと思います。
目次
「うちの愛犬の○○の行動は問題行動でしょうか?」
「うちの愛犬の○○行動は問題行動でしょうか?」
このご質問は、私がカウンセリングをしていると、よく聞くワードです。
この質問を頂いたら、私は
とご返答します。
一見、無責任とも思える返答だとも言えますが、なぜこのような返答をするのかは「問題行動の定義」にあります。
犬の行動の定義
犬の行動の分類は大きく分けて3つあります。
・正常行動
・異常行動
・問題行動(※行動問題と表現する場合もあります。)
正常行動とは、簡単にいうと「その動物種に広く見られる行動」を指します。
排泄行動、穴を掘る行動などがあります。
異常行動とは、動物種として本来もっていない行動、頻度や強度が異常に多いか低い行動などを指します。
常同行動、異食行動などがあります。
問題行動とは、飼い主が容認できない行動、あるいは動物自身に有害な行動のことを指します。
以上から、「正常行動」も「異常行動」も「問題行動」に当てはまる可能性があると言えます。
例えば、子犬が甘噛みする行動(正常行動)は、飼い主が愛犬の行動を容認できないと思うのであれば「問題行動( 飼い主が容認できない行動 )」です。
一方で、甘噛みする愛犬が可愛くて、特に問題と思わなければ、問題行動ではありません。
愛犬は甘噛みしてくるけど、特に痛くないし、可愛いので困っていないよ。
⇒愛犬の「甘噛み」行動は、問題行動ではありません。
愛犬が甘噛みしてきて、私の腕が傷だらけ…。
家族以外にも、甘噛みして、怪我をさせてしまったらどうしよう!?
⇒愛犬の「甘噛み」行動は、問題行動です。
因みに、私のカウンセリングでは、愛犬が飼い主を甘噛みしていたとしても、それにより問題が起きていないのであれば、コミュニケーションの一環として、行動をそのままにしておくことも良くあります。
ただし、注意してほしいのは、「動物に有害な行動」に関してです。
飼い主は愛犬の行動が問題ないとおもっていたとしても、じつは「異常行動」であり、「問題行動( 動物自身に有害な行動 )」であるケースです。
例えば、「犬が自身の尾を追いかける行動(常同行動)」は、飼い主にとって害が無く、面白く思われがちな行動です。そのため、「問題行動」と認識されにくい傾向があります。
しかし、犬が自身の尾を追いかける行動は、「異常行動」であり、「問題行動」に分類されます。
このような行動は早急に改善するべきであると言えるでしょう。
まとめ
愛犬にとっても、あなたにとっても「愛犬の行動が有害で無い場合」は、問題行動ではありません。
つまり、その行動は改善する必要はとくにないでしょう。
本やサイトの情報と愛犬の行動を比較して、愛犬の問題行動を探し出すのではなく、
愛犬の行動が「愛犬にとって」「家族にとって」有害であるかを見てあげてください。
愛犬の行動にお困りの方は、まずはその行動が犬にとって「正常行動」か「異常行動」であるかを調べてみるのも良いですね。