大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです。
南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。
コンパニオンアニマル(犬や猫、馬など)の栄養の勉強をされたことのある方は、NRCやFEDIAF、AAFCOといった単語を目にしたことがあるのではないでしょうか。
愛犬にとって「各栄養素どれぐらいの量が必要であるか?」を知るためには、科学的な裏付けのある栄養ガイドラインを参考に、レシピ作成することが理想的です。
市販のドッグフードはAAFCOが最も使用されていますが、家庭の手作り食はNRCが多く使用されている傾向があります。
NRCとは何ですか?
NRC (National Research Council)は、1986年に設立された全米科学・工学・医学アカデミー(The National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の傘下にある非営利組織団体です。
こちらの団体が発行する最新の書籍は、2006年が最新版です。
NRCが発行する書籍には、犬と猫のカロリー、水分、アミノ酸、脂肪酸、ミネラル、ビタミンといった栄養素の必要量を公開しています。
また、各栄養素の最低必要量(MR)、推奨許容量(RA)、安全上限量(SUL)も示されています。
他にも、栄養素代謝、毒性、犬と猫の両方の欠乏症、および栄養関連の病気などについても触れています。
NRCは、加工されたペットフードではなく、新鮮な食材をベースに栄養ガイドラインを作成しています。
アメリカなどにいるプロの犬の栄養士のほとんどが使用している栄養ガイドラインは、NRCであると言われています。
その他の栄養ガイドライン
NRCのほかにも、FEDIAF(欧州ペットフード産業連盟)やAAFCO(米国飼料検査官協会)などが犬の栄養ガイドラインを公開しています。
これらのガイドラインはNRCが公開している内容を参考に、ガイドラインを作成しています。
また、NRCは「各ライフステージの犬の代謝重量あたりの必要量」を公開しているのに対し、AAFCOは高エネルギー摂取量(132 x MW)に基づく各ライフステージの必要量のみ公開しています。
ほかにも、AAFCOは炭水化物を多く含む商用のガイドラインで、栄養素のバイオアベイラビリティ(生体利用率)の低さを考慮し、栄養素の必要量を高めに設定しています。
そのため、家庭で作る手作り食にこの数値を使用すると、栄養過多になる可能性があります。
つまり、AAFCOは犬の栄養士がレシピ作成するうえで使用するのが難しい傾向があります。