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【手作り食を作っている方必見!】獣医監修「犬の手作り食レシピ本」を栄養分析してみた

つじ
つじ

大阪で活動している認定ドッグビヘイビアリストです


南イリノイ大学で犬猫の基礎栄養学~臨床栄養学を学び、総合栄養食の手作り食レシピ作成も行っています。

愛犬のご飯を手作りされている方は、どのような情報を参考にしているでしょうか?

・犬の手作り食の書籍
・犬の手作り食サイト
・犬の栄養士から聞く


多くの方は、お手軽なネットや書籍を参考にされているのではないかと思います。

「獣医監修」などといったワードが書いてあると、より安心な気持ちになりますよね!

では、書籍やサイトのレシピは犬にとって安全であるか。

「犬の手作り食レシピ本」を栄養分析をした結果を、今回は皆さんにシェアしたいと思います。

「獣医監修」手作り食レシピ本の栄養分析

では、早速レシピを分析していきましょう!

今回は、本屋や図書館にも置いてある有名?な「獣医監修の犬の手作りごはんレシピ本」に記載されているレシピの1つを分析してみたいと思います。
※ここでは、本のタイトルは伏せます。

NRCの栄養ガイドラインを使用し、食材の栄養素は「USDA(米国農務省フードデータ)」のデータを使用して、計算していきたいと思います。

NRCとは?
ある書籍のレシピ

【材料(10㎏の成犬1回分)】
・炊いた玄米 37.5g
・チキンスープ 150㏄
・ごま油 5g
・かぼちゃ 30g
・あずき 15g

上記のレシピを、わたしの愛犬アンディ(雄、20㎏、未去勢)に食べさせる場合、どうなるでしょうか…

レシピ分析の結果

栄養の過不足は、次のような結果となりました。

・割合…摂取量 / 推奨許容量(RA)

※レシピの合計栄養素が必要量を満たしている場合(100%以上)、%をオレンジで表示しています。

割合
カロリー59%
たんぱく質260%
トリプトファン23%
スレオニン23%
イソロイシン30%
ロイシン34%
リジン48%
メチオニン13%
バリン31%
アルギニン56%
ヒスチジン37%
脂質(合計)126%
αリノレン酸61%
リノール酸、アラキドン酸181%
EPA0%
DHA0%
ミネラル
カルシウム5%
31%
マグネシウム63%
リン32%
カリウム91%
ナトリウム262%
亜鉛13%
23%
マンガン142%
セレン1%
ヨウ素0%
ビタミン
チアミン38%
リボフラビン9%
ナイアシン56%
パントテン酸24%
ビタミンB-672%
葉酸(合計)108%
コリン(合計)1%
ビタミンB-120%
レチノール0%
ビタミンE9%
ビタミンD0%

このような結果となりました。

このレシピをアンディに食べさせるとしたら、たった6項目しか栄養素は満たすことが出来ず、栄養素の不足がかなりあることが分かりました。

今回は上記の1つのレシピ分析を公開しましたが、

このほかにも数冊の書籍、サイトに掲載されているレシピ50件をランダムで選別し栄養分析した結果、上記に記載の栄養素すべてを満たせているものは残念ながら0件でした。

⇒手作り食の栄養素が愛犬に足りているのか。
不安な方は以下の「栄養分析サービス」をご活用下さい。

栄養に関するサービス

オリジナルの手作り食の危険性

上記のような必要な栄養素量を満たせていないごはんを愛犬に食べさせ続けることで、健康被害が起きる可能性があります

以下は、独自の手作り食によって愛犬が栄養失調により、安楽死になった症例報告です。

ショッキングな内容ですが、手作り食を作っている方は、ぜひ目を通してください。

💡手作り食が原因で呼吸機能の低下が起こり、安楽死になったケース

ある雄のブルドッグは、生後4カ月までは子犬用フードを食べていました。

そして、4か月齢以降から、主に「肉類、穀物、野菜」を使用した飼い主オリジナルの手作り食を食べていました。

このブルドッグは、生後7カ月に「後肢麻痺、筋委縮、知覚過敏、運動不耐性」などの症状が観察されました。

原因を特定するために検査したところ、「重度のビタミンD欠乏症、低カルシウム血症、ビタミンA欠乏症、および副甲状腺機能亢進症」など、重度の栄養失調であることが判明。

治療をしましたが、呼吸機能の低下により、最終的に安楽死となりました。

〈文献〉
https://bvajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1136/vetreccr-2019-001038

上記の内容は、知識が無いと漠然と怖く感じるかもしれませんが、知識があれば予想することができます。

そのため、不必要に怖がる必要はありません。

まとめ

「犬の手作り食は、簡単!」
「犬の必要なご飯の量は、犬のあたまの大きさの量!」

などといったワードを見かけることも増えましたが、

犬の手作り食は栄養素が足りていないと健康被害が起きる可能性があることから簡単とは言えません。

実際に、ご相談頂いたお客様の愛犬の中に、バランスの悪い「手作り食サイト」を参考に愛犬のご飯を作り続けた結果。

栄養バランスのかたよりが原因で尿路系の病気になってしまい手術することになったケースもご報告頂いています。

また、子犬は比較するとホメオスタシス(一定のバランスを体で調整する能力)が働いていないことから、栄養の過不足が健康上に大きな影響を与える傾向があります。

愛犬の手作り食を作成する場合は、かならずNRCなどの栄養ガイドラインを参考に栄養素の計算をしたうえで、食材を組み合わせることをお勧めします。

ご自身で計算するのが難しい場合は、栄養ガイドラインを使用してレシピ作成するプロにご相談することをお勧めします。

私のところへご相談いただいている方には、安全なレシピの見分け方などについてもお伝えしています。

愛犬の栄養相談をしたい方は、以下の栄養サービスをご覧ください。


栄養に関するサービス